振り返り日記

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日本4.0で感じた経営チームの重要性

2023/11/27 に接続詞の不足と文末の修正しました

coralcap.co

この記事を読んだ感想です。

長期的に俯瞰してみた日本を捉えていて、非常に興味深い内容でした。 日本に悲観的な記事ばかりが並ぶ中で著者が日本に期待していることは、ポジション的な側面はあれど勇気づけられました。 せっかく感想を述べるのであれば、自分のポジションから言語化してみます。

日本4.0に到達するための社会制度変革はどうするのか

著者の主張は国家存亡の危機を乗り越える手段としてバージョンアップがあり、バージョンアップを行うためには技術革新と社会制度変革が必要である、といった内容だったと思います。 技術革新の担い手が起業家であることは納得感の高い内容です。しかし、もう1つの論点である社会制度改革についての論点は掘り下げられていませんでした。

記事である通り国家存亡の危機や社会制度の破綻という大きな問題が発生しないと、バージョンアップは行われないのでしょうか。

私は違うのではないかと思いました。大きな社会課題を解決するスタートアップには社会制度変革を促す機能が必要であるからです。*1

大きな社会課題には規制や既存の利権が存在します。規制や利権に対して取り組みを行っているのが、今成長しているスタートアップではないでしょうか。

わかりやすい例ではフィンテック領域があります。 フィンテックに関わるスタートアップは、金融規制の枠組みの中で為替や決済に新たな価値を創出しています。 2010年代後半に多くのスタートアップが立ち上がり、決済や会計は様変わりしました。 私自身もフィンテックのスタートアップの恩恵を受け、効率的なバックオフィスを実現しました。 それ以外にもLuupや弁護士ドットコムのサービスなども既存の利権や規制を変え、新たな価値を市場に提供しています。

スタートアップが大きな社会課題を解決するには、利権や規制の枠組みを変える => 社会制度変革を起こす必要があります。 このように考えると社会制度変革を行う担い手もスタートアップであると言えそうです。

読んだエッセイや自分の意見でもスタートアップは、社会に非常に大きな価値をもたらすと言えそうです。

しかし、すべての会社がスタートアップでなくてもよいと思っています。 例えば、自宅からすぐ近くに商店街があります。 この20年で寂れていた商店街が様変わりし、新たなカフェやバー、今どきのスイーツ、ベーカリーなどさまざまな新しいお店の創業によって、新たな人の流れが生まれました。 このような事例を身近に感じていると、私は価値の大小にとらわれず起業することに価値があると捉えています。 そして、起業を通じて目の前にいる顧客の課題を解決し続けることは、スタートアップでも商店街の店舗でも変わらないことで事業の本質なのではないでしょうか。

チームの重要性

起業することは、どのような形態であっても新たな価値をもたらすよいものだと話してきました。

じゃあ誰にでも起業を勧めますか?といわれると悩みます。 創業しフルタイムで稼働するようになってから2年ほど経過しました。 自分たちが苦労してきた点を振り返ると、幸運なことの連続で再現性がないと感じているからです。

起業は総合格闘技と言われるように、製造・販売・資金繰りのすべてを回していく必要があります。

起業する前に、すべてを経験している人はなかなかいません。 効率化された企業では分業が進んでおり、分業化により経験に偏りがあります。 もしかするとまったく知らない分野もあるでしょう。 ひとりで解決するスーパープレイヤーは稀有な人材です。

それゆえに多くの創業者はチームを組成することに心血を注ぐのですが、チームを作ること自体が難しいと感じています。 そしてその難しさの要因はお金と変化する人間関係だと考えています。

株式や報酬・人間関係の問題などによって創業時のメンバーがほとんど変わったケースや創業者が追い出されるなどもみたことがあるのではないでしょうか。また、非常に強烈なスーパープレイヤーが牽引したとしてもこれらの問題は発生します。 2023年のプライベートカンパニーでおきた問題は一例でしょう。

「誰と起業するのか」によって、創業から軌道に乗った先でも問題になることもあります。

私たちは幸運なことに、異なるバックグランド・得意分野を持った4人で創業しました。 さらには関係性も古くからあり、その関係性がチームをより強固なものにしていると感じます。

チームであることのよさは、さまざまな視点から1つの物事を捉え意思決定できることです。 意思決定には、選択肢と判断軸が必要です。 判断軸にはスピードやコスト、効果、実現可能性、リスクなどがあります。 判断軸のうち、どれを重視するのかの意思決定の回数を積み重ねることでチームの特徴が生まれます。

チームではなくひとりで判断し続けていくと、多面的に捉えられず1つの判断軸に偏重することもあるでしょう。 たとえば、売上の達成のみを求めコンプライアンスが守れなくなる、自分たちの利益を重視し会社組織が立ち行かなくなる、といったことが現実的におきています。

このような問題を防ぐためにも、さまざまな視点から1つの物事を捉え、その上で意思決定できるチームが必要です。

ですから起業するにあたっては市場やビジネスモデルを考えることも重要ですが、それと同時に創業チームをどのように作れるかも大切な要素であるとと言えます。

最後に

今までの経験や見聞から「チームって重要だよね」というのを肌感覚で感じていました。 上述のエッセイを読んだときに、より大きな社会課題を解決するためには、人よりも「チーム」というものに目を向けるとよいのではないかな?というのが知的冒険の起点でした。 非常に読みやすく素敵なエッセイと出会えたことで、私自身も考えを深められました。

*1:ここで話すスタートアップは、大きな社会課題を解決するために外部資本を定期的に調達している企業と定めます。